僕は 愛する君に かたちとして渡すものがないんだ
僕は 木だから 僕は 大地だから 僕は 風だから
僕は 大切な君が 泣いているとき かなしんでいるとき
はんけちで涙を拭いてあげることができない
僕は いとおしい君に 指輪さえも渡すことができない
だって僕は 木だから 僕は 大地だから 僕は 風だから
でも僕は 君の美しいやさしさを 誰よりもしっている
君の美しい笑顔は 世界を癒す力があることを
君の流した涙は 大地を潤すことを
君のやさしい歌声は 風にのって空高く舞うことを
君が幹に触れるとき いつも僕に話しかけてくれる優しさがあることを
僕は かぎりない愛とやさしさを君からもらっていることを
君は知っているかい?
いとおしい 美しき君へ
僕が 君に贈ることができるのは
君を、どんな君でも、愛し続けることだけなんだ
僕は、春の訪れを祝うために、若葉を実らせよう
僕は、君を暑さから守るために、木影をつくろう
僕は、ふかふかの落ち葉のじゅうたんで君をくるもう
僕は、冬の北風から君を守るために、立ち続けよう
僕は、君の涙を乾かすために、ほほをやさしくなでる風になろう
僕は、やわらかな日の光で、震えている君をあたためよう
僕は、君の返事に応えるために、はらはらと落ちる木の葉になろう
僕の 君への愛は かたちがない
それでも いつもいつまでも どんな時でも
君の背中をそっと押す風に
君の道を照らす光に
君の道しるべになる木に
僕の愛で 君を包もう
かたちのない愛で
write by Misa Kano