加納ミサ公式 Blog & Column 心で生きる Healing The Heart

☆小さな物語☆とむらい 夏の大三角形へ


( ↑ まだまだ暑いですが、季節は確実に秋へと♡空が高くなり、風も変わりました♡)
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☆久しぶりに小さな物語をお届けします☆

☆とむらい 夏の大三角形へ☆

 

「あら、あの星、ロケットみたいな形をしていますね」

夏の夕暮れ時、東の空からまるで沈みゆく太陽を追いかけるように昇ってくる星がある。三角の形をした星座、夏の大三角形だ。僕たちはその星座を「ロケット星」と呼んでいた。

今でも湿り気を帯びた風がふく季節がやってくると、青臭くなまめかしい風と草むら、そしてあの星のことを思い出す。人は嗅覚から記憶をたどるというのは、本当だろう。ずいぶんと昔のことなのに、記憶がよみがえる。
湿り気が取れない季節、背丈ほどあるボウボウと生えた草をかき分けながら、僕たちが密かに逢う場所にはちょうど良い場所だったあの空間のことを。

☆:::::::::☆

「明日、またここで逢おう。君の好きな星が見える夕刻に」
僕はそう言いながら、今日こそ君を抱きしめたいと思った。
が、いや、、やはり、、今日も無理だ。

君に触れたのは、君が僕に木の十字架を「お守りに」と渡してくれたときのことだ。
僕の手のひらに君の指先が、そっと触れた。

それだけだ。
それだけだった。

触れたい、君に。
君のぬくもりを もっと深くまで感じたかった。

「また、明日ね。明日も見られるかしら? 」
君は濃くなりかけた空を眺め、それから僕の方を向き微笑んだ。

それが、君の声を聞いた最後の言葉だ。

明日はやってこなかった。
明日は僕らのもとには、いや日本中、世界中で明日がやってこない人が多かったのだ。

僕は必死になって君を探し続けた。どこまでも。
いや、分かっている。すでにこの世界には、もういないことを。

これが最後だとはと考えられない。だが、僕は事実を受け入れられなかった。
こんなのは嘘だ!! 命を返してくれ!! と叫び罵倒したい、が、世間はそれを許してはくれない。
僕は草むらの中をかき分け、がむしゃらに、ひたすら君の幻影を探し求めた。残り香を、足跡を、痕跡を。

僕の上を戦闘機が低空でやってくる。
「殺せ! 俺も殺してくれ! 」

草むらの真ん中で僕は叫び、両手をめいいっぱい広げた瞬間、握りしめていた十字架が手からすり抜けた。
僕は思わず、背丈ほどある草むらの根元に這いつくばり十字架を探した。

戦闘機が何度か僕の上を低空で飛んでいたが、やがて通り抜けていく。何事もなかったように、静かに。

僕の足元には、探しても見当たらなかったあの十字架が、そっと落ちていた。

命を救われたのか。
まだここに生き残らなければならいのか?

いつ、君のもとへと行けるのか?
僕は君の名を呼び続けることしかできない。

僕の心は後悔の念で引き裂かれそうだ。
手を取り、君を引き寄せ、君を抱きしめたかった。
愛しているとは言えないが、好きだとはっきり伝えたかった。

してこなかったことの後悔の嵐の中で、
君のいないこの絶望の世界で僕は生き残らなければならないことを悔やんだ。

なら僕は、君のところへ早く行けるよう神風に乗り、君のもとへと向かおう。
君の好きな、あの星にむかって飛び立つことを志願するのだ。

僕は、ムワっとした青臭い草むらの中で深く決意した。
これしか僕に残された生き方は他になかったのだ。

☆:::::::::☆

だが、
僕は、今も生きている。
いや、生き残っている。

その年月の長さに、君の声を思い出すのに、君の姿を思い出すのに、時間という流れが記憶を邪魔してくる。
だが湿り気を帯びた風が吹く季節がおとずれると、ロケット星が夜空に浮かぶたび、あの草むらの記憶がよみがえる。風が臭いを運び、嗅覚が記憶を鮮明に思い出させてくれるのだ。いや、実は正直それさえも思い出すのに時間がかかるくらい、遠い記憶になりつつある。

「あっ、夏の大三角形だ! ねぇ、見える? あそこ、あの星!」
「へぇ、あの星の名前、夏の大三角形っていうんだ。確かに三角形だな。初めて知ったよ」
遠くからロケット星のことを話すカップルの声が聞こえてきた。

ねぇ、知っているかい?
あの星座の本当の名前はね、『夏の大三角形』っていうんだよ。

でも僕は、今でもロケット星と呼んでいる。
僕は空を見上げ、星にむかって君に伝える。

君と話すとき、僕は星に語りかける。
夏はロケット星に。冬はオリオンに。

どれだけ年月が経っても変わらないものがあるとしたら、永遠に輝き続ける星座だ。
もう、青臭い草むらもない。アスファルトだらけの大地に、僕が君を想うのは、星だけだった。

「おっきいじいちゃん!!」
小さな天使が私に手を振り駆けよってきた。

「おっきいじいちゃん、ねえ見て! ほら、ロケットのようなお星さまがいるよ!」
息子孫が僕の足に抱きつき、教えてくれる。

「おぉ、そうか。あぁ、ほんとうにロケットのようなかたちをしている星だね」
僕はそう言って、小さな天使の頭をやさしくなでた。

ロケット星は今も、健在だよ。
僕は、フッと笑いながら星になった君に語りかける。

「ほんとだね」
小さな天使はニコッと笑い、深いしわが刻まれた僕の手を、
これまたちいさな手でキュッと握りしめた。

・・・・・・!?
君か?
いや、、「ほんとだね」は、君に向けた僕の心の会話の相づちなのか?
それとも、息子孫に向けた言葉の相づちなのか?

「おかあさん、まって〜。ねぇ、ロケットのようなお星さま見つけたよ!」
僕の心の問いにたずねるまもなく、小さな天使は、星を指さしながら走り去っていく。

今のは、君だったと僕は思いたい。
記憶が遠くなっていこうとも、君を覚えていたいと願った、とむらいだったのか?

湿った風が一瞬、フワリと軽くなった。
「あの星、ロケットみたいな形をしていますね」

僕の耳元で、いや正確には頭に響いた。
だが、確かにハッキリとその声は聞こえた。

なつかしい記憶の中にしかなかった君の声を何十年ぶりに聞いた。
僕は、僕は・・・。
夏の大三角形がぼやけて、形をなしていない。僕はその場に立っていられなくなった。

もう十分だろう、そろそろ、君のもとへ行ってもいいかい?
僕はもう、十分生ききった。

風がまたフワリと吹き、言葉をはこんだ。
「また、明日ね 」

 

 

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